坂口恭平

 そして、僕たちはとうとう出口らしきところにたどり着いた。  その海は今までとまるで違う海だった。海も到達する道の違いで見せる姿を変える。  その時を境に、僕は社宅に住んでいる自分の環境が好きになった。  どんな退屈な世界に身を浸していても、冒険を見つけ出すことができるようになった。  何かを「変える」ことが革命なのではない。むしろ、革命がすでに起きていることを、思考の転換によって見つけ出すことができる。それは「変える」というよりも「拡げる」方法論である。生き方は無数にあるということを気付く技術。  それだけで「生」そのものの在り方を変えることができるのだ。